「デザインの先生」(21_21 DESIGN SIGHT)開幕レポート。6人の「先生」の思想を通じてデザインの原点をたどる【2/6ページ】

 会場入口では、菱川勢一による映像インスタレーションが来場者を迎える。6名それぞれの言葉や表情、さらに未公開資料を含むアイヒャー関連映像が映し出され、画面越しに彼らの人間性がゆっくりと立ち上がる。

 まずは、6名のうちイタリアを代表する3名──ブルーノ・ムナーリ、アキッレ・カスティリオーニ、エンツォ・マーリ──に焦点を当てたい。ブルーノ・ムナーリ(1907〜1998)は、絵画、彫刻、写真、インダストリアルデザイン、絵本、教育と領域を自在に横断した、20世紀イタリアを代表する芸術家/デザイナーである。1930年代には「役に立たない機械」シリーズを発表し、キネティック・アートの先駆者として国際的に高い評価を受けた。

展示風景より

 田代はムナーリについて「軽やかに、そしてユーモアをもって世界を作品化する力こそ、現代に必要な感性だ」と語る。本展のムナーリセクションでは、代表作に加え、1957年創業のインテリアブランド「DANESE(ダネーゼ)」との協働に着目。知育玩具やプロダクトに見られる「遊びと学びの統合」というムナーリの哲学が紹介されている。

ブルーノ・ムナーリセクションの展示風景より

編集部