アウトサイドな立場だからこそできること
瓦バンクのメンバーや企画展に携わった石川、アーティストたち、そして坂をはじめとする被災地支援プロジェクト関係者も、今回の震災に関してはアウトサイドな立場にある。
3回の取材を通じて、被災地や避難生活を余儀なくされる地域住民──いわばインサイドの人々──の様子をわずかにうかがうことができた。しかし、彼らにとっては、自身や家族のいのちや生活が最優先であり、当然のことながら文化に目を向ける余裕はほとんどない。そのような状況だからこそ、アウトサイドの力が必要とされる。いのち、生活インフラ、そして文化を同時並行でつなぐことができれば、いずれインサイドとアウトサイドの意識が交わる瞬間が訪れるはずだ。
被災地の生活が徐々に取り戻される過程で、今後、瓦バンクプロジェクトに求められるのは、現地住民と意識を共有し、改めて能登の未来について考えていくことだろう。時間はかかるかもしれないが、その間も復興と同時並行でこのプロジェクトが進められていくことを願いたい。我々もアウトサイドの立場として、この状況を発信する一助になれればと思う。

写真提供=一般社団法人瓦バンク



















