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被災した「能登瓦」の未来──「瓦バンクプロジェクト」が描く復興のかたち【3/5ページ】

坂茂や伊東豊雄といった建築家らとの協働

 瓦バンクによって保存された能登瓦は、徐々に再利用されつつある。例えば、坂茂による仮設住宅が並ぶ珠洲市・見附島には、新たに住民たちが集うための集会所が設置され、その屋根には瓦バンクで保存した能登瓦が使用されている。

見附島の集会所 外観。再利用された瓦は、珠洲市内にあった本住寺で使用されていたもの。市内では、本住寺をはじめとする寺院の倒壊も相次いだ
建築同様、紙管を用いてつくられたテーブル
見附島の集会所 内観。取材時には森山によるインスタレーションが展示されていた

 同じく珠洲市の北東部に位置する狼煙町には、被災地で人々の憩いの場をつくる「みんなの家」(*)プロジェクトが始動。今年7月には「能登のみんなの家」第一号が完成した。ここではイベントが開催され、月2回の食堂も開設されるなど、地域住民の交流拠点となっている。

珠洲市狼煙町。築142年という歴史のある禄剛埼灯台のふもとに位置する小さな町にも、能登瓦の風景が広がる
狼煙のみんなの家 外観 設計=クライン ダイサム アーキテクツ
狼煙のみんなの家 内観。近隣住民らの交流拠点となっている

*──「みんなの家」は、被災地で人々の憩いの場をつくるプロジェクトである。2011年の東日本大震災を契機に始まり、伊東豊雄をはじめとする建築家と、被災地域の住民、行政や協力企業らが協働して進めてきた。これまでに東北では16棟、熊本では地震や水害の被災地で130棟以上が建設され、現在も使用されている。https://www.home-for-all.org/

編集部