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被災した「能登瓦」の未来──「瓦バンクプロジェクト」が描く復興のかたち【2/5ページ】

「瓦バンクプロジェクト」とはなにか

 地域の景観をかたちづくる瓦屋根。瓦の色やかたちには、それぞれの土地の特色が表れており、なかでも、光沢と深みのある黒色が印象的な「能登瓦」には、雪や潮風といった北陸地方の厳しい気候に耐える性質が備わっている。そもそも瓦屋根の家屋は減少し、瓦産業に従事する人も少なくなっている現代において、これらの文化を継承することは同地にとって大きな課題であった。

 「瓦バンク」は、2024年1月1日の地震を契機に、倒壊した家屋から能登瓦をレスキューするために立ち上がったプロジェクトだ。プロジェクトメンバーには、小松市を拠点に活動する鬼瓦職人・森山茂笑を代表に、森山はるゑ、吉澤潤、瀬尾裕樹子、新道雄大ら5名が名を連ねる。瓦バンクの活動は、瓦産業の継承・発信を目的として立ち上げられた前身プロジェクト「GAWARA」の設立直後に始まったという。

 能登瓦が織りなす景観や文化を後世に残すため、震災後は倒壊した家屋から瓦をレスキューして保存する取り組みが進められたが、その扱いには課題があった。そこで協力者として現れたのが、被災地支援プロジェクトとして仮設住宅の建設を進めていた坂である。坂との出会いを契機に珠洲市長と協議を重ね、現在、様々な活動が行われている。

令和6年能登半島地震後、倒壊した家屋からレスキューされた「能登瓦」。現在その総数は2万枚にも及ぶという
能登瓦
左から、森山茂笑(瓦バンク 代表)、吉澤潤(瓦バンク ディレクター)

編集部