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「野村正治郎とジャポニスムの時代―着物を世界に広げた人物」(国立歴史民俗博物館)レポート。ジャポニスムにより残された着物文化の精華【2/4ページ】

商人としてのセンス:美術商としての活動―対外交流

 正治郎のビジネスは、京都で刺繍を主とした染織品を扱っていた母・志ての商売を継承したものだ。ふたりの兄のうち次兄が最初に事業を継ぎ、分家して外国人向けに古物の染織品の貿易へと広げていく。

 18歳でアメリカに留学し、イリノイ州の美術専門学校に学んだ正治郎は、1903年から事業に参画した。留学経験を活かし、西洋人へのきめ細やかな対応で信頼を得ていったようだ。扱う商品を着物へとシフトし、店構え、商標、ノベルティなどの工夫を凝らし、着物についての正しい知識をレクチャーすることもあったという。

 第1章では、野村家のグループ企業的なあり方の変遷とともに、貿易商として協力を得た人々との関係、正治郎の事業の展開や海外オークションでの出品歴などを、多様な資料から見ていく。

第1章展示風景
第1章展示風景。野村商店神戸支店ビジネスカード(1928年、個人蔵) 着物の形に浮世絵版画風の絵を載せ、外国人好みのデザインにしている
第1章展示風景。右から《源氏香葵模様振袖》(20世紀前期)、《童遊戯模様下着》(19世紀、ともに国立歴史民俗博物館 野村正治郎衣装コレクション)。着物と襦袢の間に着る下着は初公開の友禅染の優品

編集部