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「作家の現在 これまでとこれから」(東京都写真美術館)開幕レポート。写真表現を拡張してきた作家らの軌跡をたどる【2/4ページ】

 展示室の白い壁面に浮かぶように配置されるのは、石内都(1947〜)が原爆で亡くなった人々の遺品を撮影した「ひろしま」シリーズだ。石内はこのシリーズを2007年より毎年撮影しており、今回は同館のコレクションに加え、新たに撮影された5点を発表している。

 体調を崩し、今年3年ぶりに広島へ赴くことができたという石内。現在はライフワークとして続けるこのシリーズについて、次のように語った。「当初は以来で撮影していたが、広島に出会ってから人生が変わった。これらの遺品コレクションはだんだん少なくなっていくが、この『80年の時間の塊』を私が撮り続けなくてはと思っている」。

展示風景より、石内都の「ひろしま」シリーズ
石内都

 石内の作品群から連なるようにして展示されるのは、志賀理江子(1980〜)による東北を撮影したシリーズだ。「カナリア」(2006)「螺旋海岸」(2011)といったコレクションから、今年撮影された新作までが構成されている。

 今回ピックアップして展示される作品は、主に志賀が東北に移り住んでからの20年間に撮影されたものだ。2011年の震災を経て、制作への向き合い方にも変化があったという志賀。これらの作品を通じて、「復興とはなにか?」といった大きな問いや、その問題が孕む内実についても、アプローチを続けているという。

展示風景より、志賀理江子の作品群
志賀理江子。現在は同地にて、若手の作家らとともにチームで撮影を行っているという。「チームで動くことで“場ができる”」とし、その重要性についても語ってくれた

編集部