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「作家の現在 これまでとこれから」(東京都写真美術館)開幕レポート。写真表現を拡張してきた作家らの軌跡をたどる【4/4ページ】

 戦争の傷跡や記憶をたどる「地図」や戦後から昭和期の終わりを見届けた「ラスト・コスモロジー」、高度経済成長期の様子をとらえた「ロス・カプリチョス」などのシリーズ作品で知られている川田喜久治(1933〜)は、同シリーズやほかのコレクション作品に加え、インスタグラムで発表し続けている近作も展示している。長きにわたり撮影を続けながらも、新たなテクノロジーを受容し、自身のスタイルへと昇華していくその姿勢は、若手作家らにとっても指針となりうるだろう。

展示風景より、川田喜久治の「地図」シリーズ(1959-65)
展示風景より、川田喜久治の「ルートヴィヒⅡ世の城」シリーズ(1969)
川田喜久治

 本展は、同館コレクションに名を連ねる作家のうち、現在も活動を続けながら写真表現を拡張してきた作家たちの軌跡を改めてたどる場となっている。「写真を撮影する」ということが一般化し、その意味合いが多様化する現在において、作家らが追求し続けた創造の軌跡を俯瞰できる貴重な機会と言えるだろう。

 なお本展は、1月2日、3日に無料で鑑賞することが可能となっている。年始の休みを利用して訪れるのもよいだろう。

編集部