ロンドンのコートールド美術館に収蔵されている、サンドロ・ボッティチェリやジョン・コンスタブル、オーギュスト・ロダンなどの芸術家による傑作と思われていた贋作がこの夏、同館で公開される。
「Art and Artifice: Fakes from the Collection」と題される本展では、同館のコレクションから約25点の素描と7点の絵画、彫刻、装飾美術の贋作が展示され、これらの作品の制作や贋作の判明にまつわる物語を探る。
作品のなかには、美術史と保存修復を教える機関でもあるコートールドに寄贈され、学生たちがそこから学べるためのものがある。また、コレクターによって美術館に寄贈された自慢の作品であったにもかかわらず、技術的や歴史的な検証を経て贋作であることが明らかになった作品もある。
例えば、ボッティチェリの傑作とされていた聖母子像は、1920年代の映画スターに似ていることや、現代の顔料が使われていることから、偽物であることが判明。ジョン・コンスタブル作とされていた海景画は画家の家族から寄贈されたものであるため、その真偽が疑われることはなかったが、同館の専門家が作品のなかに「184-」という透かしを発見し、1837年の画家の死後となる1840年代に制作されたことがわかった。
ピーテル・ブリューゲルのような、画家の没後にその作品に対する需要に応えて制作され、市場に出回った作品もある。今回の展示では、ブリューゲルと同時代に活躍したヤーコブ・サーフェリーによる精巧な作品も展示される。
また、本展では悪名高い贋作画家による作品を見ることもできる。偽フェルメールを販売した罪でナチスに裁判にかけられ、コートールドの教授が第二次世界大戦の従軍から所持してきたハン・ファン・ミーゴレンの絵画や、イギリスの贋作画家エリック・ヘボンが回顧録で誇示している作品も紹介される。