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「新収蔵作品展」「コレクション+ 女性アーティスト、それぞれの世界」(アーツ前橋)会場レポート。収蔵品のポテンシャルを再考する【4/6ページ】

ケアや環境もテーマに。「コレクション+ 女性アーティスト、それぞれの世界」

 さて、地下に降りて「コレクション+女性アーティスト、それぞれの世界」へ。今回は、階段や通路には作品を展示せず、章ごとにひと呼吸置ける展示空間となっている。

  第1章「物語」では、フカミエリ、村上早(むらかみ・さき)らの物語性を感じさせる作品を紹介。川内理香子は油彩絵具を厚く塗り、その上からペインティングナイフで削り取るように線を描く独自の手法で、ドローイングとペインティングを融合した作品を制作。レヴィ=ストロースの神話分析に着想を得たモチーフが描かれている。

川内理香子 snow white 2023 2024(令和6)年度作家寄贈

 第2章「女性が描く女性」では、高畑早苗、片山真理らの作品が並ぶ。松川朋奈は、同時代の女性へのインタビューからジェンダーや母子関係、加齢など女性の問題を引き出し、絵画を描く。今作は首から胸の影が謎めいている。また、2018年に96歳で没した前橋市出身・塩原友子の作品も。伝統的な日本画材を用いながらコラージュや版画的技法、幾何学的な画面構成などを展開し、21年に群馬県立近代美術館で回顧展が開催された。

展示風景より、左は松川朋奈《It's good once in a while》(2023) 2023(令和5)年度寄贈 撮影=白坂由里

 第3章「風景から環境」では、内なる目(身体)と外界を行き来する。まずは岡田菜美、幸田千依ら、実在の風景から再構成・創造した風景画などを紹介。一方、ジャカルタ湾の海洋ごみを集めて一つの島を制作したティタ・サリナの映像作品は、風景をエコロジーの視点から「環境」と捉え、私たちの身体もその一部であることを示唆する。

岡田菜美 one view(No.56) 2022 2023(令和5)年度寄贈

編集部