また、会場では「ムーミン」世界を体感できる映像演出にも注目したい。フィンランド・コトカ市の保育園のために描かれた壁画《フェアリーテイル・パノラマ》は、幅約7メートルの2面構成を原寸大の映像で再現。幻想的な風景のなかに一角獣や様々な動物たちが登場し、そのなかにはムーミンたちの姿も見え隠れする。来場者は、まるで物語のなかに入り込んだような没入体験を楽しむことができる。

今年で記念すべき出版80周年を迎える「ムーミン」シリーズ。本展ではその節目にあたり、「The door is always open(扉はいつも開かれている)」というテーマが掲げられている。多様な登場人物たちが互いを思いやり、帰る場所としての「ムーミン谷」の扉はつねに開かれている──そんな優しさと包容力に満ちたメッセージが、いま改めて強く求められる時代に、深く響く。会場内には、このテーマを象徴する「開かれたドア」のインスタレーションも設置され、来場者をトーベとムーミンたちの世界へといざなう。




















