硯
硯(すずり)の原初としては、秦時代初期(紀元前3世紀ころ)の墓から、石製で板状の「研(硯)」が出土し、墨をすり潰すための石も確認されている。やがてそれらが直接墨をする「硯」へと変化したが、当時の素材は陶磁だったらしい。形は丸型だったものが、唐時代(618~907)から矩形へと移行していく。素材についても、漢時代(紀元前3~紀元後3世紀)を経て良質な石の生産・開発が進み、宋時代(960~1279)にはふたたび石製になり、現在の私たちが硯としてイメージするものに定着したようだ。清時代には精緻な彫刻や漢詩などが刻まれた装飾的なものも生み出される。鑑賞のポイントは、石質、石紋、装飾や由来、そして磨った墨の濃淡や光沢を見る発墨(はつぼく)だそうだ。


また、様々な硯とともに、硯に塵が入るのを防ぎ、室内装飾ともなった硯屏や、墨に水を加える水滴、書く前に筆先を整えるための水を入れる筆覘(ひってん)、これらの道具を収める函などの道具にも、豪華な素材や趣向あふれる造りが奢られており圧倒される。
























