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「スウェーデン国立美術館 素描コレクション展―ルネサンスからバロックまで」開幕レポート。隠された画家たちの思考や制作の過程に注目【5/5ページ】

 第4章では、現在はベルギーやオランダあたりの地域にあたる「ネーデルランド」から、主に17世紀の作品を取り上げている。当時のネーデルランドでは画題の広がりが見受けられ、聖書の物語や風俗、風景、動物など多種多様な作例が現存しているのが特徴だ。ここでは、ヤン・ブリューゲルやルーベンス、そしてレンブラントといった巨匠らの作品も紹介されている。

「スウェーデン国立美術館 素描コレクション展―ルネサンスからバロックまで」(国立西洋美術館、2025)展示風景より、コルネリス・フィッセル《眠る犬》
「スウェーデン国立美術館 素描コレクション展―ルネサンスからバロックまで」(国立西洋美術館、2025)展示風景より、ヘンドリク・ホルツィウス《自画像》(1590-91頃)

 キリスト教を題材として作品を描き続けたレンブラントによる素描も、一見現代のマンガのような、ゆるやかなタッチに魅力がある。実際のレンブラントの作品からもうかがえるように、素描の段階から光と闇の絵づくりが意識されていることが読み取れる。

「スウェーデン国立美術館 素描コレクション展―ルネサンスからバロックまで」(国立西洋美術館、2025)展示風景より、レンブラント・ファン・レイン《キリスト捕縛》
「スウェーデン国立美術館 素描コレクション展―ルネサンスからバロックまで」(国立西洋美術館、2025)展示風景より、アラールト・ファン・エーフェルディンゲン《水車のある北欧風景》

  素描とは、制作において構成を練るための重要な過程だ。本展は、これらのコレクションを通じて、本来は隠れてしまう作家の思考や制作の秘密を垣間見ることができる貴重な機会になっている。

 ちなみに、会場のなかには、作品の一部に「JUNIOR PASSPORT」と書かれたマークが貼られたものがある。これは国立西洋美術館による施策で、小・中学生に配布される冊子に掲載されている作品を示すものだ。こちらは公式ウェブサイトからもダウンロードが可能なため、ご家族で足を運ぶ際は、こちらを活用してみるのも良いだろう。

「スウェーデン国立美術館 素描コレクション展―ルネサンスからバロックまで」(国立西洋美術館、2025)展示風景より

編集部