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「スウェーデン国立美術館 素描コレクション展―ルネサンスからバロックまで」開幕レポート。隠された画家たちの思考や制作の過程に注目【2/5ページ】

 会場は全4章構成となる。まず第1章では、ルネサンスやマニエリスム、バロックなど、西洋美術における重要な時代の中心地でもあった「イタリア」の素描を取り上げ、美術史の流れを追いながらその有り様を追うものとなる。

 当時のイタリア美術界では、現実世界のとらえ直しが盛んとなり、写生によるイメージの入念な検討が行われていたという。さらに16世紀前半のマニエリスム期には、過去の巨匠が成し遂げた理想を追求しつつも、独創的な作風が数多く見られるようになる。

「スウェーデン国立美術館 素描コレクション展―ルネサンスからバロックまで」(国立西洋美術館、2025)展示風景より
「スウェーデン国立美術館 素描コレクション展―ルネサンスからバロックまで」(国立西洋美術館、2025)展示風景より、パルミジャニーノ《聖ヨハネと男性聖人を伴う「長い首の聖母」のための習作、左に向かって歩く男性》

 バロック期に入ると、再び自然観察の視点が重視されるようになる。とくに、16世紀のボローニャで美術アカデミーを設立したカラッチ一族は、人体モデルの素描や古代彫刻の模写を重視したという。ここでは、その好例が紹介されている。

「スウェーデン国立美術館 素描コレクション展―ルネサンスからバロックまで」(国立西洋美術館、2025)展示風景より、アンニーバレ・カラッチ《画家ルドヴィーコ・カルディ、通称チゴリの肖像》(1604-09)
「スウェーデン国立美術館 素描コレクション展―ルネサンスからバロックまで」(国立西洋美術館、2025)展示風景より

編集部