「仮現の反射 Reflections of Bric-a-Brac」と題した本展は、「身体という表面に宿る魂の在りか」を探る試み。
本展タイトルにある「仮現」とは、「そこに存在するが、カッコに入った状態で存在している」(平田)という状態を表すことばであり、平田が素材として扱うデータなどの性質とマッチする。
すべて新作で構成される本展のメインピースとなるのは、ギャラリーの2つの壁面に映し出された映像作品《Sneaky Skins In a Dispersion of Agensy》(2025)だ。


同作には、ネットから取得したモーションキャプチャーデータをもとに自作した「3Dモデル」と、プロンプトから生成した「身体」が混在するかたちで登場する。しかしその「身体」は、我々が人間として認識しえないような様々な形状も見せる。しかしその姿は、「デジタル世界において身体は選択可能である」という拡張性を示唆するとともに、これからの未来における身体のあり方を問いかける。
またこれらの「登場人物」はいずれも軽快なダンスを見せる。この動きの理由について、平田は「身体は我々にとってもっとも身近なもの。仮想の身体が可能になったとき、人間の気配や息づかいを感じられるのが『動き』ではないか」と語る。実際、無機物に見える存在が登場しても、その動きから私たちは何かしらの意思や生命を感じ取ってしまうだろう。
なお会場には、平田がネット空間から蒐集した3Dスキャンデータをもとにした複数の立体作品が展示されており、これらも映像作品とリンクを見せる。本展担当キュレーターの伊藤賢一朗は「VR空間は平田にとって日常。VRとリアルな空間の境界線は曖昧であり、溶け込んでいる」と語る。展覧会というリアルな空間において、平田は「デジタル時代のアッサンブラージュ」とでも言うべき展開を見せた。



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