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「西洋絵画、どこから見るか?」展(国立西洋美術館)開幕レポート。2つの美術館所蔵品が海を越えて一堂に【5/5ページ】

 第4章「19世紀」では、19世紀における人物表現の多様性を探る。伝統的な古典絵画の影響を受けながらも、近代的な表現を模索した画家たちの作品が展示されている。この時代には、リアリズム、ロマン主義、印象派といった様々な美術運動が交錯し、個々の画家が独自の表現を追求した。伝統と革新が共存するこの時代の作品を通じて、西洋絵画がどのように発展していったのかを紐解いていく。

展示風景より、左からウィリアム=アドルフ・ブーグロー《羊飼いの少女》(1885、サンディエゴ美術館蔵)、ウィリアム=アドルフ・ブーグロー《小川のほとり》(1875、国立西洋美術館蔵〈井内コレクションより寄託〉)
第4章の展示風景より

 また、本展は同館の企画展示室だけにとどまらず、常設展示室にも及ぶ。常設展では、サンディエゴ美術館のコレクションから5点の作品が公開されており、川瀬は「これにより、普段とは異なる視点から常設コレクションを楽しむことができます。とくに、同じ画家の作品が海を越えて一堂に会することで、それぞれの作品の新たな魅力や側面が明らかになるでしょう」と話している。

常設展示室での展示風景より、右からジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル《フェイディアスの習作》(1827)、フランシスコ・デ・ゴヤ《ラ・ロカ公爵ビヤンテ・マリア・デ・ベラ・デ・アラゴン》(1795頃、いずれもサンディエゴ美術館蔵)

 たんなる作品の鑑賞にとどまらず、「どのように見ると面白いのか?」という視点から構成された本展。作品を並べて比較することで、異なる時代や地域、画家ごとの特徴が際立ち、従来とは異なる視点で西洋絵画を楽しむことができるだろう。サンディエゴ美術館と国立西洋美術館のコレクションが交差することで生まれる新たな発見を、ぜひ会場で体感してほしい。

編集部

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