5年をかけて職人とともに制作
1969年島根県⽣まれの加藤は、98年頃より本格的なキャリアをスタートし、⼦供が描くようなシンプルで記号的な顔の形に始まって、現在まで「⼈型(ひとがた)」を⼿がかりに制作を続けている。絵画作品に加え、⽊、ソフトビニール、布、⽯、鋳造など、様々な素材による⽴体作品も発表している加藤だが、着物への挑戦は今回が初めてだという。
京都・三条烏丸の千總ギャラリーの「加藤泉×千總:絵と着物」(〜9月2日)では、両者によるコラボレーションで生み出された作品が一堂に並ぶ。
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展示の主役となるのは、構想から5年をかけて完成された、着物型の作品8点(反物2点を含む)だ。着物は「ゼンマイ」と「ミミズク」の2柄。いずれも「人型」モチーフが描かれており、ところどころに刺繍が施されている。
これらは加藤によるスケッチをもとに、糸目友禅や描き友禅、絞り染め、刺繍、仕立てまで、伝統的な工程を経て制作されており、京都在住の専門職人たち20名以上のチームワークによって生み出された。
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制作は千總本社内にある工房のほか、京都府内にあるそれぞれの専門工房で実施。加藤自ら何度も京都を訪れ、「人型」モチーフは自ら筆をとり、職人たちと肩を並べながら伝統的な友禅の技法によって描いたという。
着物生地の染色は初めてだったという加藤だが、千總の上質な絹は細かい表現も可能で筆が運びやすく、とても描きやすい支持体だったと振り返る。
⻑い歴史を誇る千總においても、友禅職⼈以外の⼿によって着物⽣地に染⾊が加えられるのは極めて珍しいことだ。
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