ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ「Dance Floor as Study Room—したたかにたゆたう」(山口情報芸術センター[YCAM])開幕レポート

山口情報芸術センター[YCAM]で、ウェンデリン・ファン・オルデンボルフによる新作展覧会「Dance Floor as Study Room—したたかにたゆたう」がスタートした。会期は2025年3月15日まで。

文・撮影=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部)

展示風景より、《したたかにたゆたう─前奏曲》(2024)

 山口情報芸術センター[YCAM]で、ウェンデリン・ファン・オルデンボルフによる新作展覧会「Dance Floor as Study Room—したたかにたゆたう」がスタートした。キュレーターは、レオナルド・バルトロメウス(YCAMキュレーター)。

 ファン・オルデンボルフはオランダ現代美術を代表するアーティストのひとり。映像作品やインスタレーションを通じて、人種差別、ジェンダー問題、歴史、植民地主義などの支配的言説や権力構造に対峙する数々の作品を発表してきた。日本においては、2022年11月に東京都現代美術館で開催された個展「ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ 柔らかな舞台」が我々の記憶には新しいだろう。

 また、YCAMと言えば、メディア・アートの拠点のひとつとして知られ、テクノロジーを用いた新たな表現の追求を主な活動としているイメージが強い。しかしそのいっぽうで、批判的な視点や学びの機会を展覧会を通じて行ってきたという側面もあり、今回のファン・オルデンボルフによる展覧会にもそのような意図が込められているという。これについてバルトロメウスは「政治的な内容に触れたくない鑑賞者もいるとは思うが、そこでアプローチをやめてしまうと会話が進まない。正義による分断は起きるべきではないと考えているため、こういった活動を通じて対話の大切さを伝えていきたい」と語っている。

展示風景より

編集部

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