• HOME
  • MAGAZINE
  • NEWS
  • REPORT
  • 「須田悦弘展」(渋谷区立松濤美術館)開幕レポート。植物彫刻を…

「須田悦弘展」(渋谷区立松濤美術館)開幕レポート。植物彫刻を探しつつ知る須田の多彩な仕事【2/3ページ】

 地下1階の展示室は須田の過去作を中心に展示する空間となっている。須田の木彫の原点となったのは、大学1年のときに履修した立体造形の授業だ。干物を模刻するという課題に挑んだ須田は、本格的に木を彫るのは初めてだったが、楽しくなって夏休みに入っても少しずつ彫り続けたそうだ。こうして完成したのが《スルメ》(1988)だ。自分でも満足いく出来となったので学校に持って行くと教員や同級生にも評判が良く、須田は木彫の楽しさに目覚めた。

展示風景より、左が須田悦弘《スルメ》(1988)

 展示室に設置された囲いのなかで展開されているのは、卒業制作である《朴の木》(1992)だ。大学構内にあった朴(ほお)の木の花弁をモチーフとした本作は、周囲の空間を再制作したうえで展示されている。空間と作品の関係性について、須田が当時から興味を持っていたことがよくわかる。

展示風景より、須田悦弘《朴の木》(1992)

 ほかにも2回目の個展で発表し、当時は銀座の駐車場を借りて展示された《東京インスタレイシヨン》のほか、特徴的な局面空間と呼応する数々のインスタレーション作品もこの階では見ることができる。

編集部

Exhibition Ranking