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「須田悦弘展」(渋谷区立松濤美術館)開幕レポート。植物彫刻を探しつつ知る須田の多彩な仕事

東京・渋谷の渋谷区立松濤美術館で、都内の美術館では25年ぶりとなる美術家・須田悦弘の個展「須田悦弘展」が開幕した。会期は2025年2月2日まで。

文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長)

展示風景より、須田悦弘《バラ》(2024)

 東京・渋谷の渋谷区立松濤美術館で、美術家・須田悦弘の個展「須田悦弘展」が開幕した。会期は2025年2月2日まで。

 須田は1969年山梨県生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。上京をきっかけに、都市の中の自然のありように注目するようになり、その木彫によって生み出される精巧な植物の彫刻作品は、インスタレーションとして展示されることが多い。93年、移動式の展示空間をリヤカーで引き、銀座の道路沿いのパーキングメーターに駐車、展示する「銀座雑草論」でキャリアをスタート。以後、原美術館、アサヒビール大山崎山荘美術館、国立国際美術館、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館など数々の美術館・ギャラリーで作品を発表してきた。

須田悦弘

 本展は東京都内の美術館では25年ぶりとなる須田悦弘の個展となる。白井晟一(1905~1983)による独創的な建築で知られる渋谷区立松濤美術館で、須田の植物作品はもちろん、初期作品やドローイング、近年取り組んでいる古美術品の補作までを展示することで、その全容に迫る展覧会だ。

 須田は本展のために何度も館に足を運び、そして来るたびに、中央に池がある構造や、殆どの壁が曲面など、この館の建築の特殊性を実感したという。この複雑な構造をもった館のなかに散りばめられた須田の作品を探す、原初的な楽しみに溢れているのが本展といえるだろう。

編集部

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