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「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子―ピュシスについて」(アーティゾン美術館)開幕レポート【2/3ページ】

 会場には、キネティックな作品からサウンドインスタレーションまでが連なるようにして点在している。「あえてプロジェクトごとに壁を設けていない」というこの構成には、「生成、変化、消滅」といった自然における一連の運動・流れがそのまま可視化されているようであった。

展示風景より、毛利悠子《Piano Solo: Belle-Île》(2021- / 2024)。毛利が実際に訪れたベリール周辺の浜辺。波の音を聞いたピアノがその旋律を奏でている
展示風景より、右はクロード・モネ《雨のベリール》(1886)

 中央に置かれるのは、マルセル・デュシャンの代表作のひとつ《大ガラス》をモチーフとしたというインスタレーションだ。壁を隔てて、「独身者の機械」と「花嫁の世界」が相対する構図となっており、大ガラスに描かれたメカニックな図像が現実に出現。「独身者の機械」が生み出す運動が壁の穴を通じて「花嫁の世界」へと影響を与えているようだ。よく見ると、この「欲望のメカニズム」とも言われるデュシャンの世界観が、細長い管状のもので、コンスタンティン・ブランクーシ《接吻》の隣にある毛利の《Calls》とつながっていることにも気づくことができるだろう。

展示風景より、毛利悠子「独身者の機械」。壁を隔てて「花嫁の世界」の裏側にある
展示風景より、毛利悠子「花嫁の世界」。壁を隔てて「独身者の機械」の裏側にある
展示風景より、手前はコンスタンティン・ブランクーシ《接吻》(1907-10)

編集部

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