会場には、キネティックな作品からサウンドインスタレーションまでが連なるようにして点在している。「あえてプロジェクトごとに壁を設けていない」というこの構成には、「生成、変化、消滅」といった自然における一連の運動・流れがそのまま可視化されているようであった。
中央に置かれるのは、マルセル・デュシャンの代表作のひとつ《大ガラス》をモチーフとしたというインスタレーションだ。壁を隔てて、「独身者の機械」と「花嫁の世界」が相対する構図となっており、大ガラスに描かれたメカニックな図像が現実に出現。「独身者の機械」が生み出す運動が壁の穴を通じて「花嫁の世界」へと影響を与えているようだ。よく見ると、この「欲望のメカニズム」とも言われるデュシャンの世界観が、細長い管状のもので、コンスタンティン・ブランクーシ《接吻》の隣にある毛利の《Calls》とつながっていることにも気づくことができるだろう。