「GO FOR KOGEI 2024」開幕レポート。可視化される生活のなかの表現、表現のなかの生活【4/5ページ】

 イタリアン・レストランの「ピアット・スズキ・チンクエ」では、岩村遠による立体作品を屋外に展示。人類の持ち続ける普遍性を探求しながら、人物像を滋賀県の信楽の工房で制作する岩村。アメリカをはじめ、世界各国でレジデンスを行った経験から、土を通した文化の情報伝達に着目し、縄文土器や埴輪といった日本の土の文化を再考する、土着的でありながらも、同時に現代的なキャラクターも想起させる作品群を展示した。

展示風景より、岩村遠の作品が置かれた「ピアット・スズキ・チンクエ」

 日本酒のスタンディングバー「桝田酒造店 沙石」では、書家の柿沼康二が「ぶちぬく」の文字を繰り返し書いた作品を壁一面に展開。マスキングを自在に組み合わせて一筆ごとに変化していく文字は、柿沼の身体と意識がその瞬間ごとにとらえた感覚がそのまま落とし込まれている。

展示風景より、柿沼康⼆《ぶちぬく》(2024)

 クラフトビールを醸造する「KOBO Brew Pub」では、現代美術家の舘鼻則孝が雷をモチーフとした絵画を壁面に施した。さらに舘鼻は酒蔵「桝田酒造店 満寿泉」でも展示を行っている。蔵のなかにある水の神を祀る神棚から雷が広がっていくようなビジュアルを、床一面につくりあげた。

展示風景より、「KOBO Brew Pub」と舘鼻則孝《ディセンディングペインティング“雲⿓図”》(2024)
展示風景より、「桝田酒造店 満寿泉」の舘鼻則孝《ディセンディングペインティング“雲⿓図”》(2024)

編集部

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