「GO FOR KOGEI 2024」開催へ。富山と金沢2会場で37名が参加

北陸から工芸の魅力を発信する取り組み「GO FOR KOGEI」。その第5回となる「GO FOR KOGEI 2024」が9月14日〜10月20日の会期で開催される。

外山和洋 Biophilia; Ephemeral Vase 2021 作家蔵Photo by Ichikawa Shinichi

 工芸を主軸に、現代美術、アール・ブリュット、デザインなどとともに横断的に紹介し、工芸の広がりを提示してきた同芸術祭。前回(2023)は富山県の富岩運河沿いを会場に作家26名の作品展示と国際シンポジウムを実施。初回開催から23年度までで、のべ14万人以上の来場者を記録している。

 今年の会場は、昨年も会場となった岩瀬エリア(富山県富山市)と、初開催となる東山エリア(石川県金沢市)の2会場。ものづくりが古くから受け継がれてきた北陸にて 「くらしと工芸、アートにおける哲学的なもの」をテーマに、作品展示のほか様々なイベントを通じて、現代における新たな工芸を発信するという。総合監修・キュレーターはこれまで同様、秋元雄史(東京藝術大学名誉教授)。 

葉山有樹 双竜 2023 Photo by Watanabe Osamu
東山エリア(石川県金沢市) ©︎金沢市

 秋元は前回から「場所との関わりを深めていき、じっくりとその場所の魅力を伝えていく方向にもシフトした。日常の側面と作品の組み合わせを楽しんでもらえたら」と説明。また、今年発生した能登半島地震についても言及し、能登の作家たちがまだ制作段階まで復興が進んでおらず、「震災以降の作品を見せるまでには時間がかかる」としている。

左から、高山健太郎(共同キュレーター、株式会社artness代表)、秋元雄史(総合監修、キュレーター、東京藝術大学名誉教授)、浦淳(認定NPO法人趣都金澤理事長)

 今回の参加作家は、赤木明登×大谷桃子、石渡結、磯谷博史、伊能一三、岩崎努、岩村遠、柿沼康二、川合優×塚本美樹、サリーナー・サッタポン、澤田健勝、釋永岳、五月女晴佳、竹俣勇壱×鬼木孝一郎、舘鼻則孝、外山和洋、松山智一、三浦史朗+宴KAIプロジェクト、八木隆裕、安田泰三の総勢37作家(15名+4組)。昨年とは異なり、工芸・デザイン分野のアーティストが多くなっているのが特徴だ。

 富山駅から車で北に15分の距離にある岩瀬エリアは、北前船の寄港地として栄えた街並みを生かした地域活性化が図られている。ここには石渡、磯谷、伊能、岩崎、岩村、柿沼、サッタポン、澤田、釋永、五月女、舘鼻、外山、松山、安田が参加し、風景と結びつくようなサイトスペシフィックな展示が中心になるという。地元の日本酒をはじめとする食文化も楽しめそうだ。

石渡結 Tabula Rasa 2024 金沢美術工芸大学蔵
磯谷博史 活性 05 / 活性 06 ともに2023 個人蔵
伊能一三 へいわののりもの(おんなのこ) 2017 個人蔵
岩崎努 嘉来 2024 作家蔵
Photo by Yashima Ryoko
五月女晴佳 蠱 2023 作家蔵
Photo by Okamura Kichiro
松山智一 ダブル・ジョバディー! 2020 K.T.蔵
Courtesy of Matsuyama Studio

 いっぽう、金沢を代表する観光地のひとつである「ひがし茶屋街」を有する東山エリアでは、2021年に実施した「工芸×デザイン 13人のディレクターが描く工芸のある暮らしの姿」をもとに発展させた、「もの」と「こと」が織りなすイベントをカフェや町屋で開催。作品展示とともに体験を通じた「こと」を提供し、工芸を紹介する。

竹俣勇壱 tayoの展示風景(2024)
三浦史朗+宴KAI プロジェクト KAI-RO

 主催者のひとりである認定NPO法人趣都金澤理事長の浦淳は、GO FOR KOGEIの開催意義について「北陸は多くの工芸の産地が集積している。また多くの教育機関、作家もいる環境。北陸からいかに新しい工芸を発信できるかが課題」と改めて強調。また、「能登半島地震があったが、能登も道路が復旧してきている。そのことを頭の隅に置きながら、今回のGO FOR KOGEIを楽しんでほしい」と呼びかけた。

編集部

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