このふたつの会場は、作品によってつながりを持つような構成となっている。例えば、本展の中軸ともなっている絵画シリーズ「color beginning / breath」においては、東博本館の特別5室に展示されている最後の1枚と、銀座メゾンエルメス フォーラムの始まりの1枚は同じキャンバスで描かれ、つながっていたものだという。
また、本展で見られるふたつの風船は、生まれてくる生の魂と、生の外側に行こうとする魂であると内藤は語る。「color beginning / breath」とともに時間の不可逆性を示しながら、時折、鑑賞者の動きや空気の振動によってゆらりと揺れるのが印象的であった。
「生の只中において、生の往還は分けようもなくひとつで、言うまでもないことなのですが、 生は生きながら還っているのでした。あの花も、今日という日も、私もです」(内藤)。