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「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」(銀座メゾンエルメス フォーラム)開幕レポート。感情や記憶、人の生を静かに見つめる【3/3ページ】

 いっぽう、東博では見られないモチーフも銀座メゾンエルメス フォーラムには存在している。ひとつは一輪の花。花瓶に生けられたこの花はいまは美しく咲いているが、いつかは必ず枯れ、なくなってしまうだろう。もうひとつは笑顔のモデルが写されたくしゃくしゃの雑誌の1ページ、そして「生の光景」を静かに見つめる、木の人の存在だ。

「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」(2024)銀座メゾンエルメス フォーラム展示風景より
撮影=畠山直哉
「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」(2024)銀座メゾンエルメス フォーラム展示風景より
撮影=畠山直哉

 このふたつ目の作品空間の誕生に、内藤はその心境を次のように語った。「作家は自分の作品と初めて出会うという瞬間を最初から奪われていますが、それでも私はこれから制作時とは別の、もうひとつの純粋な体験を受け取ることができるのだろうと思っています」。

 東京国立博物館の展覧会と会期が重なる17日間、ふたつの会場を円環する体験をぜひ味わってほしい。

「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」(2024)銀座メゾンエルメス フォーラム展示風景より
撮影=畠山直哉

編集部

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