東京・銀座の商業施設「GINZA SIX」の中央吹き抜けを飾るアートに、ヤノベケンジの《BIG CAT BANG》が登場。本作は同施設に1年半ぶりに展示される新たな吹き抜けアート作品であり、展示期間は25年夏までを予定されている。
ヤノベは1965年大阪府出身。京都市立芸術大学美術学部彫刻専攻卒業。同大大学院美術研究科修了。70年の大阪万国博覧会の開催地である大阪で育った同氏は、幼少期に「廃墟化した万博」を体験した。そして、そこにそびえ立ち続ける《太陽の塔》は、ヤノベのクリエイションの原点になったのだという。
《BIG CAT BANG》は、2017年から制作されている、旅をしながら福を運ぶ猫「SHIP'S CAT」シリーズのひとつ。同施設中央の大きな吹き抜け空間を地球を含む銀河ととらえ、無数の宇宙猫が空を舞うという構造となっている。そして、中央に浮かぶ宇宙船は、岡本太郎《太陽の塔》へのオマージュ作品だ。
本作の公開に際し、ヤノベは次のように語った。「この作品はいままでで最大級かつ現時点で最高傑作となっている。猫はネズミ駆除を目的に船に乗せられてエジプトに連れてこられたという話があり、そんな猫を『場を守る存在』としてシリーズ化していった。(中略)。私は、岡本太郎さんから大きな影響を受けて制作活動を行ってきたが、世界の危機に対しての希望を、宇宙の爆発、芸術の爆発を通じて発信したい」。
また、本企画を担当したモデレーターの後藤繁雄はその意図について「時代に対するメッセージがつねに大切だと思っている。ヤノベさんはいままでのカタストロフに対して作品をつくってきた作家。この時代に物語を提示できるのはヤノベさんしかいないと思い企画した。来年には大阪万博も控えている。岡本太郎の遺伝子を引き継いだ人間にぜひやってほしいと考えていた」と述べた。
また、中央吹き抜けに連動して、同施設4階各所にはヤノベの彫刻作品が展示されているほか、岡本太郎が実際につくった《太陽の塔》の50分の1模型も岡本太郎記念館協力のもと展示されている。中央のオマージュ作品と見比べてみるのも面白いだろう。
さらに、同施設2階の三原テラスにはポップアップストアも登場。《BIG CAT BANG》に登場する宇宙猫グッズが限定先行販売されているほか、本作のメイキングブックも販売されているため、お見逃しなく。
なお、ヤノベは東京・南青山にある岡本太郎記念館で、個展「ヤノベケンジ:太郎と猫と太陽と」(仮)を7月12日〜11月10日の会期で開催する。こちらの企画展もぜひチェックしてほしい。