「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」のメンバーとして知られ、現在はニューヨークを拠点に精力的な活動を続ける篠原有司男。その4年ぶりとなる帰国展が、東京・天王洲のANOMALYで始まった。
篠原は1932年東京都生まれ。東京藝術大学美術学部油絵学科にて林武に師事し、在学中より読売アンデパンダン展に出品。日本の前衛芸術の一時代を築いた。同大学を中退後は吉村益信らと「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」を1960年に結成し、その活動は短期間ながら日本の美術史に大きな足跡を残した。69年にはロックフェラー三世奨学金により渡米し、以降はニューヨークを活動拠点。90歳を目前にしたいまなお、エネルギッシュな活動を続けている。
69年にはロックフェラー三世奨学金により渡米し、以降はニューヨークを活動拠点。90歳を目前にしたいまなお、エネルギッシュに活動を続けている。
2017年以来の帰国展となる本展は、篠原の代表作のひとつである「ボクシング・ペインティング」が大きな見どころだ。
ボクシング・ペインティングは、1959〜61年頃に実験と実践が繰り返されたもので、スポンジを巻きつけたグローブに絵具を浸し、巨大な画面に何度もパンチすることによって、絵画を完成させる。「思考が追いつく前に描く」というこの作品によって、篠原はいつの時代も人々を圧倒してきた。
本展では、オープニング初日に篠原がこのボクシング・ペインティングを披露。60年代の作品を思い起こさせるモノクロ作品と、アラスカでオーロラを見たことから着想されたという色彩豊かな《吾輩のパンチがオーロラに炸裂!》のふたつを観衆を前につくりあげ、完成後には大きな歓声があがった。
1年ぶりの人前でのパフォーマンスとなった今回。篠原は、「やっぱり人が見てないとダメだね。まだいけるなと思ったよ」と振り返る。
会場では、このできたての2作品のほか、近年シノハラ・スタジオで発見された、主にニューヨークの大衆文化を描いた1970~80年制作の極彩色ペインティング、巨大な「花魁シリーズ」、ラオコーンに触発された立体作品などが一同に並ぶ。篠原が放つ力強いエネルギーにあふれた空間だ。