1932年東京生まれの篠原有司男は、東京藝術大学在籍中に参加した「第7回読売日本アンデパンダン」展(1955年)をきっかけに、1960年に結成された反藝術運動を代表するグループ「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」の一員として作品を制作。当時、その常識を覆す激しいアクションや、モヒカン刈りといった奇抜な髪型でも注目を集めた。
ジャスパー・ジョーンズや、ロバート・ラウシェンバーグの作品を模した「イミテーション・アート」シリーズや、日本の伝統的世界観とポップ・アートの表現を融合させ、極彩色で顔のない人物像を描いた「花魁」シリーズ、壮絶なタッチで描く油彩画や、ダンボールや廃材を素材にしたオートバイ彫刻など、これまで多彩な作品を次々に発表してきた。
59年頃より、篠原の代名詞とも言える「ボクシング・ペインティング」を開始。丸めた布に墨汁を染み込ませ、布の上に落としたり、跡をつけたりと、対象と向き合い格闘する篠原は、身体的アクションに主眼を置き、数多くのパフォーマンスを実践。69年にニューヨークに渡った篠原は、現在も現地を拠点に活動を続けている。
10年ぶりの日本個展となる本展では、2000年代初頭の作品を中心に「ボクシング・ペインティング」の大型作品を展示。初日には、85歳を迎えた作家による「ボクシング・ペインティング」のパフォーマンスも予定している。