2020年最初のSBIアートオークション。最高額は草間彌生の6300万円、荒川修作の大作も出品

2020年2月1日、東京・代官山でSBIアートオークションの第36回モダン&コンテンポラリーセールが開催された。現代美術作品を中心に400点以上の作品が出品。当日の会場の様子と、主要な落札結果をレポートする。

 

オークション会場の様子

 2020年最初のSBIアートオークションとなる第36回モダン&コンテンポラリーセールが、東京・代官山のヒルサイドテラスにて2月1日に開催された。注目の落札結果を、ピックアップしてお届けする。

 オークションの冒頭で人気の高さを見せたのは加藤泉。過去のSBIアートオークションでも高額での落札を記録してきた加藤だが、今回も03年の作品が予想落札価格250万〜350万円に対して650万円、06年の作品が90万〜60万円に対して260万円と、予想最高価格を大幅に上回る値で落札された。

 井田幸昌の小型のキャンバス作品、「End of Today,Face」シリーズの2点は、いずれも予想最高価格10万円の5倍を超える53万円と60万円の高値をつけた。さらに、自画像の作品《Self portrait -morning-》(2014)は、予想落札価格が低めの60万〜90万円で設定されていたが、書面ですでに400万円の入札が入っていた。100万円を超える上げ幅の入札も行われて会場は大きな盛りあがりをみせ、最終的に570万円で落札された。

下見会風景より、左上が井田幸昌《Self portrait -morning-》(2014)、左下2点が井田幸昌《End of Today,Face》(2017)、中央が加藤泉《Untitled》(2006)、右が加藤泉《Untitled》(2003)

 人気が高まっている小畑多丘のブレイクダンサーをモチーフとした木製の立体作品《INTHEIE》(2006)と《KAYAMARO》(2008)は、予想落札価格30万〜50万円に対し、それぞれ155万円と170万円で落札。3倍を超える価格での落札を記録し、いっそうの評価の高まりを感じさせた。

下見会風景より、左から小畑多丘《INTHEIE》(2006)と《KAYAMARO》(2008)

 オークションではつねに高い人気を維持しているKYNE。これまで数多く出品されてきたシルクスクリーンのエディションのみならず、今回はアクリルペイントのユニーク作品が出品。予想最高価格80万円に対して、270万円の高値で落札された。

 ポール・ゴーギャンの《いつ結婚するの》(1892)をモチーフとしたMADSAKIの作品《Nafea Faa Ipoipo(When Will You Marry?)Ⅱ》(2016)も会場を湧かせた。落札価格は予想上限価格の倍近い1450万円。

下見会風景より、KYNE《Untitled》(2016)
MADSAKI《Nafea Faa Ipoipo(When Will You Marry?)Ⅱ》(2016)の落札価格の表示

 本オークションで美術関係者の注目を集めたのが、荒川修作の大型作品《Collage of Blank》(1981)。「Arakawa:Aspect of Blank」(Galerie Yvon Lambert、パリ、1982)にて発表された作品で、「BLANK(空白)」についての明示的なテキストが記されている。所有者が荒川より直接購入した作品であり、本作が衆目を集めるのは久々のこととなった。作品は予想落札価格500万〜1000万円に対し、1150万円で落札された。

下見会風景より、荒川修作《Collage of Blank》(1981)

   また、前川強の《四方へ青》(1963)は、大阪・中之島にあった具体美術協会の拠点「グタイピナコテカ」で開催された前川初の個展「前川強個展」(1963)で展示された作品。当時の出展作のほとんどは美術館に収蔵されており、今回のオークション出品は入手する希少な機会だったといえるが、入札はされなかった。

下見会風景より、前川強《四方へ青》(1963)

   今回の最高落札額は草間彌生《南瓜》(2006)で、6300万円。落札価格に取引手数料15パーセントを加えた、本オークションの最終的な取引総額は5億7753万円となった。

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