フィンランドのアーティストたちがとらえる「ケアの行為」。KANA KAWANISHIで3つの展覧会が開催【3/3ページ】

 第3期では、4月5日〜26日にKANA KAWANISHI PHOTOGRAPHYにて、ナヤブ・イクラムとサンプサ・ヴィルカヤルヴィによる2人展「Families」が開催される。

 イクラムはフィンランドを拠点に活動するビジュアル・アーティストで、パフォーマンスやインスタレーションを通して、文化的アイデンティティや記憶を探求している。本展では、彼女の家族によるパフォーマンスを記録した映像《The Family》が展示され、家族の絆や儀式、記憶をテーマにした作品となっている。

The Family(スチール) 2022
© Nayab Noor Ikram

 もうひとりのアーティストであるサンプサ・ヴィルカヤルヴィは、時間や変化、個人の選択とその不可能性に興味を持つビジュアル・アーティスト、ドキュメンタリー映画監督であり、その映像作品《What Remains?》および《With You》は、認知症を患う母親との日常や、父親との別れをテーマにしたドキュメンタリーで、記憶と時間の変遷を描いている。

What Remains?(スチール) 2018
© Sampsa Virkajärvi
What Remains?(スチール) 2018
© Sampsa Virkajärvi

 また、初日の4月5日には、本展のためにフィランドから来日するアーティスト2名とともに、両名とも実母の介護経験があるアートプロデューサー・ライターの髙石由美と住吉智恵をゲストに迎え、「アート現場の座談会:家族と共に生きること、ケアすること」と題したトークイベントが実施される。

 本展のタイトル「Acts of Care」について、企画者のキヴィネンとシータリは「ケアとは愛情を感じる能力でもある」と指摘している。アーティストたちが家族や社会、環境とどのように向き合い、ケアというテーマをどのように表現しているか、ぜひ会場にて確かめてほしい。

編集部

Exhibition Ranking