地元在住の作家や白老をテーマにした作品が多数展開
このほか白老駅から徒歩圏内の4か所でも展示と活動が展開され、そのうちの3ヶ所では、地域在住の作家やこの地域を具体的なテーマとして掲げた作品が発表された。
地元作家として2年目の参加となる田湯加那子は、1990年代後半から本格的に絵を描き始め、各地のアールブリュット展に参加してきた。昨年は「田湯加那子の軌跡」と題し、絵を描くきっかけとなった小学生時代の作品から現在まで約200点を出品した。
今年はまたたび文庫という書店で、田湯が描いてきた膨大なスケッチブックや支持体となった書籍や写真集の表紙と裏表紙が展示された。
いずれの表紙、裏表紙にも、植物のようにも幾何学的なコンポジションのようにも見える、共通性のあるフォルムが描かれている。ハンディキャップを持つ田湯がなぜこのような絵柄を描いているのか言語を介して知ることは難しいが、自身の大切な決め事、あるいは何かのメッセージのようにも見てとれた。
同じ会場では、このほか5人の映像作家が白老町に滞在して各々制作した短編映画が上映された。制作者のフィルターを通して現れる白老の人々や風景は多種多様。これらの映像を比較することで地域をより深く理解する契機となる展示だった。
2024年4月にビール醸造所併設のギャラリーとしてオープンしたbrew galleryでは「樽前山を望んで」と題し5名が参加。
樽前山は活火山で特徴的な溶岩ドームがあることで知られ、このエリアに住むアーティストに多くのインスピレーションを与え続けてきた。
今回、改めて山を見つめ、樽前山そして山という存在の魅力を見出していこうと、白老生まれの前田育子(陶芸)をはじめ、隣接する苫小牧に住んだことがあり山に親しんできたという河合春香(絵画)やjobin.(立体)、このほかアキタヒデキ(写真)、風間雄飛(版画)が展示を行った。