奈良県立美術館の開館50周年を記念し、特別展「仮面芸能の系譜-仮面芸能のふるさと奈良-」が開催される。会期は9月30日〜11月12日。
日本には、先史時代から連綿と続いてきた独自の仮面芸能の文化が存在している。縄文時代の土面に始まり、飛鳥時代に百済から伝わった伎楽や、大陸から伝来し平安時代に集大成された雅楽・舞楽、曲芸的な散楽、水田耕作と密着した田楽まで、その様相は多彩だ。そして、その成り立ちは予祝舞・翁舞や、中世に大和国において猿楽から発展した能狂言へとつながっている。
本展の会場は「日本の仮面のつながり ―考古学に見える仮面―」「日本の仮面芸能の源流 伎楽」「『聖』なる仮面芸能 雅楽・舞楽」「まつりといのりの仮面芸能 ―行道面や追儺面、翁へー」「大和の猿楽 山中の伝統と仮面」「大和と能楽」の全6章で構成。仮面芸能で使用される仮面のほか、装束や楽器、歴史資料、復元模造作品など約140件を展示することで、奈良で育まれてきた仮面芸能を体系的に紹介するものとなる。
なお、会期中には特別公演「奈良に受け継がれる仮面芸能 ―奈良豆比古神社翁舞-」も実施予定。猿楽のルーツとも言われる翁舞を、とくに古い形態の残る奈良市の奈良豆比古神社保存会が演じる。奈良へ足を運ぶ際は、ぜひこちらにも注目してみてはいかがだろうか。