アートフェア「ART OSAKA」による今年限りのスピンオフ企画「ART OSAKA WALL by APCA」が、12月18日〜20日に大阪・曽根崎の「山川ビル」で開催される。
ART OSAKAの前身である「Art in CASO」は2002年に大阪の海岸通ギャラリー・CASOで初めて開催。07年に会場を梅田駅近くのホテルに移し、08年には「ART OSAKA」と改称。以降、現代美術に特化したホテル型アートフェアとして毎年開催されてきた。
新型コロナウィルスの影響で開催中止となった同フェアは今年、ホテルを飛びだしてスペシャル企画「ART OSAKA WALL by APCA」として開催。西天満の老舗ギャラリー街の老松町からもほど近い「山川ビル」を舞台に、4フロアすべてを展示空間として展開する。
出展ギャラリーは、ギャラリーノマルやTEZUKAYAMA GALLERY、芦屋画廊kyoto、MORI YU GALLERYなど、関西圏を中心にする28軒のギャラリーが勢揃い。それぞれの独自の審美眼によって選りすぐられた若手・中堅作家の作品を一堂に紹介する。
例えば、MORI YU GALLERYではアーティストユニット「パラモデル」のメンバー・中野裕介の作品を紹介。中野が関心を抱き続けてきた「文学・哲学・マンガ・建築・郷土文化・古典芸能」から着想を得た「青焼き」による図面的描画作品や立体作品などを展示予定となっている。
またGALLERY 麟では、油彩をほどこした糸をキャンバス上に無数に弾き、平面を立体に仕上げていく技法で作品を制作することで知られる横溝美由紀の「line」シリーズの紫色系を展示する。限られた矩形のキャンバスには、糸の痕跡が複雑に絡まり合い、次第に新たな空間を浮かびあがらせる。
そのほか、TEZUKAYAMA GALLERYでは、本来の機能が排除された機械をモチーフにキネティック・アートを発表してきたタムラサトルや、鉄線の集積で人物の輪郭をかたどった彫刻作品を発表してきた加藤智大の作品を展示。eitoeikoでは、社会の仕組みを多岐にわたるメディアでユーモラスに映しだす岡本光博や、日本画の影響から純粋美術の現在形を探る吉田有紀などの作品を紹介予定だ。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、入場は事前予約制となり、オンラインでチケットは発売中。会場内では人数制限も行われる。また12月中旬以降は、オンライン・ビューイング・プラットフォーム「360 ART ROOM」を介し、フェアの展覧会風景を360°カメラで撮影し公開予定となっている。