35歳以下を対象とした、グラフィック界の次世代を担う若手を発掘する公募展「1_WALL」。この第20回グラフィック「1_WALL」でグランプリを受賞した山内萌の個展「アプローチするグラフィック」が、1月15日から2月8日まで東京・銀座のガーディアン・ガーデンで開催される。
1998年生まれの山内は、現在武蔵野美術大学油絵学科油絵専攻に在籍中。キャンバスや廃材のベニヤ板に油絵の具を用いて、初期のコンピューターグラフィックスの稚拙さを思い起こさせる顔を描くのが特徴だ。
本展では、山内が3DCGで作成した顔を油絵で描いたグランプリ受賞作品《アプローチするグラフィック》とともに新作を展示。不可解な表情をした顔とその視線が特徴的な作品を、不安定とも思える独特な間合いで配置し、展示空間全体に展開するという。
今回のグラフィック部門の審査員を務めた東京国立近代美術館主任研究員・保坂健二朗は、山内の作品についてこうコメントしている。
......かつては、見慣れたものが不気味さを帯びることに驚くことができたが、今はむしろ、不気味なものが見慣れたものとしてそこここに佇む状態から出発しなければならないのだと。そしてそうした状態において、絵画はどのような役割を担い、グラフィックはどうあるべきかを考えなければならないのだと。 山内は、そうした課題を自らに課したわけだ。その成果が成功するかどうかはわからない。なんといっても彼女はまだ学部に属する学生である。でも、見る価値はあるだろうと考えている。......
なお会期中の1月31日には、保坂をゲストに迎え、山内とのトークイベントも開催。絵画やグラフィックとは何かをテーマに、制作の背景なども交えて対談する予定だ。
審査員から「飛躍する可能性を秘めている」と評価された山内の作品をぜひ会場でチェックしてほしい。