35歳以下を対象とした、若手作家たちの登竜門となっているガーディアン・ガーデン主催の公募展「1_WALL」。本展は、ポートフォリオ審査による一次審査と、一対一で審査員と対話をする二次審査を通過したファイナリストたちが、一人一壁面を使って作品を発表するグループ展だ。
会期中の2月21日には、一般見学者にも公開される最終審査会が開催。ファイナリスト6名によるプレゼンテーションの後、5組の審査員による議論を経て、その場でグランプリが決定する。また、グランプリ受賞者には、1年後の個展開催の権利と、個展制作費20万円が贈られる。
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グラフィック界の次世代を担う若手を発掘してきた「1_WALL」で、今回ファイナリストに選出された6名の作品を紹介していく。
加藤舞衣
加藤舞衣は1994年生まれ、多摩美術大学大学院版画研究領域在籍。壁に残されたテープや傷、汚れなどの痕跡をモチーフにリトグラフを制作し、本展では毎日使用するアトリエの壁をモチーフに作品を手がけた。
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河村真奈美
河村真奈美は1996年生まれ、女子美術大学ヴィジュアルデザイン専攻在籍。写実的なグラフィックを制作し、本展では「地球の中を移動すること」をベクターデータで描き出す。
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永井せれな
永井せれなは1994年生まれ、女子美術大学ヴィジュアルデザイン専攻卒業。虚無を見つめる人物を描き、本展では「私たちのいる意味」をテーマとした作品を発表する。
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星野陽子
星野陽子は1991年生まれ、東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻在籍。二次元と三次元を往来しながら絵を描き、その間で起こる、目に見えない物事が変化する瞬間をとらえたいという星野はグラフィカルなインスタレーションを展開する。
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柳田稜
柳田稜は1997年生まれ、京都造形芸術大学美術工芸学科写真・映像コース在籍。「ある瞬間」を描く。
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山内 萌
山内 萌は1998年生まれ、武蔵野美術大学油絵学科油絵専攻在籍。自身が制作したCGを油絵具で描き、本展では「コミュニケーションの起動スイッチ」としてのグラフィックを発表する。
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以上の6名のなかから今回もグランプリ1名が選出される。
なお、今回のグラフィック部門の審査員は、アートディレクター/グラフィックデザイナーの上西祐理、グラフィックデザイナーの菊地敦己、タイポグラフィ集団の大日本タイポ組合、イラストレーターの都築潤、東京国立近代美術館主任研究員の保坂健二朗の5組が務めている。審査の様子は、会期中ギャラリーにて映像が公開されるほか、ウェブサイトにレポートが掲載される予定だ。
ひとえに「グラフィック」と言っても、その作品は多種多様。若手作家の多彩な作品、展示スタイル、プレゼンテーションとともに、審査のゆくえにも注目してほしい。