公開最終審査会でグランプリが決定。グラフィック界の次世代を担う若手を発掘する第21回グラフィック「1_WALL」展が開催へ

個展開催の権利をかけた公募展「1_WALL」。この二次審査を通過したファイナリスト6名の作品が展示される第21回グラフィック「1_WALL」展が、銀座ガーディアン・ガーデンにて8月27日から9月28日まで行われる。会期中の9月3日には公開最終審査が行われ、その場でグランプリが決定する本賞の、今回のファイナリストたちの作品を紹介していく。

審査風景。左から都築潤、菊地敦己、長崎訓子、上西祐理、保坂健二朗

 若手作家たちの登竜門となっている、ガーディアン・ガーデン主催の公募展「1_WALL」。そのファイナリストの作品が一堂に会するグループ展が8月27日にスタートする。

 本展は、ポートフォリオ審査による一次審査と、1対1で審査員と対話をする二次審査を通過したファイナリストたちが、ひとり1壁面を使って作品を発表するというもの。会期中の9月3日には、一般見学者にも公開される最終審査会が開催。ファイナリスト6名によるプレゼンテーションの後、審査員による議論を経て、その場でグランプリが決定する。グランプリ受賞者には、1年後の個展開催の権利と、個展制作費30万円が贈られる。

 グラフィック界の次世代を担う若手を発掘する目的もある本賞。今回のファイナリストに選出された6名の作品を、各作家のコメントともに紹介していく。

加瀬透

 1987年生まれ、桑沢デザイン研究所デザイン専攻科卒業。想像を超えたスケールのモニュメントをグラフィックで表現する。「把握できないことは、怖いという感情と共に私の好奇心を掻き立てます。それらの感情は深い穴を覗きこむようで、人の想像力が持つ奥行きを私に示してくれるように思えます」。

加瀬透 モニュメント、マン

近藤大輔

 1990年生まれ、常葉大学造形学部卒業。アクリル絵具、スプレー、ペンを用いてドローイングを描く。「音楽が好き。描くことは生活。人との会話では温度のある言葉を交わせたら幸せ。意図や狙いに溢れたこの街で誰が足を止めるのか。瞬間心に刺さるか刺さらないか、それだけ」。

近藤大輔 ららら

近藤麻矢

 1992年生まれ、神戸芸術工科大学ビジュアルデザイン学科イラストレーションコース卒業。空想の世界をアクリルガッシュで描く。「空想の世界を描く絵と言葉。言葉は絵と現実の距離を通じ制作し、発見と混乱を呼ぶように。目では空想の世界の事象・生き物を楽しみ、恐怖のない感情に浸れることを願う」。

近藤麻矢 地平線に行くようなものだ

田中義樹

 1995年生まれ、武蔵野美術大学彫刻学科卒業。文章、ドローイング、立体を組み合わせてインスタレーションを展開する。「香港旅行に行きました。北京ダックが食べたくて。我タクシーで三千里。x+eでデモクラC。香港旅行を作品に作ってみたはEものの。我未だに旅の途中。I ♡1壁我愛你」。

田中義樹 気分はサイトシーン

猛暑

 1994年生まれ、京都市立芸術大学美術学部美術科油画専攻卒業。キューブ型の絵を並べ、異なる時間の流れを表現する。「暮らしの中には、様々な時間が存在し、その速度や過ごし方は、人によって異なる。それらひとつひとつを描き、積み重ねていくことで、少しずつ世界を構築し、拡張していく」。

猛暑 その日々を思い浮かべて

yukomayumi

 1992年生まれ、多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース卒業。とどめたい一瞬の景色を木材や写真で結晶化することを試みる。「とどめておきたい一瞬をカメラに収めるように、景色を結晶化したいと思った。見つけた美を飾る、人工鉱石」。

yukomayumi アーバンオアシス

 今回のグラフィック部門の審査員は、アートディレクター/グラフィックデザイナーの上西祐理、グラフィックデザイナーの菊地敦己、イラストレーターの都築潤、イラストレーターの長崎訓子、東京国立近代美術館主任研究員の保坂健二朗の5名が務めている。審査の様子は、会期中ギャラリーにて映像が公開されるほか、ウェブサイトにレポートが掲載される予定だ。

 最終審査会は、事前予約を行えば誰でも参加可能。グラフィック界の次世代を担う若手作家の作品、プレゼンテーションとともに、審査のゆくえにも注目したい。

編集部

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