「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2025」開幕レポート。40組の若手作家が参加【2/4ページ】

京都新聞ビル 地下1階

 インダストリアルな雰囲気を残す京都新聞ビルの地下1階は、AFKのアイコンとしてこれまでも会場になってきた。ここで存在感を示すのは、やはり優秀賞を受賞した土屋咲瑛と寺澤季恵だろう。

 「制度的なものに関心を持っている」という土屋は1999年大阪府生まれ。2024年京都市立芸術大学大学院美術研究科美術専攻油画修了。本展では、「地図」をテーマにした映像と巨大な平面を展開した。精密さが求められる地図というモチーフをあえて手書きの有機的な線で表現したそれは、抽象画のように見るものを惹きつける。審査員の中井が言う通り、土屋の作品は「線だけの表現の可能性」を思い起こさせてくれるものだ。

土屋咲瑛のブース
Photo by Kenryou GU

 いっぽうの寺澤は1997年静岡県生まれ。多摩美術大学工芸学科、富山市立富山ガラス造形研究所研究科を卒業し、現在は金沢卯辰山工芸工房でガラス作品を制作している。「生命」を大きなテーマに据える寺澤は、吹きガラスにより膨大なガラスの集合体によって、臓器を感じさせるような大作を完成させた。審査員の高橋は「丁寧かつ力強い作品はすぐにでも国際的に活躍できるレベル」と評しており、さらなる活躍が期待できる作家だ。

寺澤季恵のブース
Photo by Kenryou GU

 そのほか、今年の「VOCA展2025」で「VOCA奨励賞」に輝いた諫山元貴の「複製と崩壊」を軸にしたインスタレーションや、柴田まおによるブルーバックを利用しクロマキー合成した映像・インスタレーション、現在は東福寺塔頭光明院に住み込みで制作活動をする丹波優太の八岐大蛇と素戔嗚の戦いをモチーフにした作品など、見応えのあるプレゼンテーションが目立つ。

展示風景より、手前は諫山元貴のブース
Photo by Kenryou GU
展示風景より、手前は柴田まおのブース
Photo by Kenryou GU
丹波優太のブース

編集部

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