グスタフ・クリムトが1918年の逝去前に描いた最後の肖像画と思われる《Dame mit Fächer(扇を持つ女)》(1918)が、6月27日にサザビーズ・ロンドンで開催されるモダン&コンテンポラリー・イヴニング・オークションに出品。予想落札価格の8000万ドル(約113億円)に対し、1億840万ドル(約156億円)で落札された。
本作は1918年2月、クリムトが急逝した当時、画家のアトリエにあるイーゼルに置かれたままだったという作品。作品の中央には、着物風の衣服を着用し、扇子を持つ女性が描かれており、背景には鳳凰や蓮の花など、東洋の文化や芸術を思わせる模様が飾られている。
本作は4人の入札者(うち3人は会場)による10分間の入札合戦の後、香港のコレクターのためにセール会場で入札していたパティ・ウォン(パティ・ウォン&アソシエーツの創設者でサザビーズ・アジアの元会長)によって落札された。
1億840万ドルという落札価格は、2010年にロンドンのサザビーズで落札されたアルベルト・ジャコメッティの《L'homme qui Marche I》の1億430万ドルを上回り、サザビーズのレコードとなった。また、クリムトのオークションレコードであった、クリスティーズ・ニューヨークで行われたポール・G・アレンのコレクションセールで落札された《Insel im Attersee》の1億458万ドル(約153億円)も上回っている。
本作が最後に売り出されたのは、約30年前の1994年。ニューヨークのサザビーズにおいて1160万ドル(780万ポンド)で落札され、当時のクリムトのオークションレコードを樹立していた。