ルイーズ・ブルジョワの代表作である蜘蛛の彫刻《Spider》(1996)が、5月18日にサザビーズ・ニューヨークのコンテンポラリー・イヴニング・オークションにて3280万ドル(約45億4100万円)で落札され、アーティストのオークション記録を更新した。
同作は、1996年にサンパウロの「イタウ財団」(Fundação Itaú)が購入したもの。以降、25年以上にわたり同財団のコレクションに収蔵されており、今回はオークションへの初出品となった。作品販売による収益は、ブラジルの文化、教育、健康への取り組みを目的とする非営利文化機関「イタウ・カルチュラル」(Itaú Cultural)の体制と継続性の強化に充てられるという。
作品は、3000万ドル〜4000万ドルというブルジョワの作品としては過去最高の予想落札額が付いていたが、ハンマープライスは3000万ドルのローエスティメートで落札されることとなった。今回の落札価格は女性アーティストによる彫刻の新記録であり、女性アーティストのオークションでの史上3番目の高額にもなった。
同夜には、サザビーズがコンテンポラリーと「The Now」のふたつのイヴニングセールを開催。それぞれは1億6750万ドル(約231億9200万円)と3720万ドル(約51億5000万円)の落札総額を達成している。
コンテンポラリーセールでは、ジャン=ミシェル・バスキアによるレコード盤状の大作《Now's the Time》(1985)が2860万ドル(約39億6000万円)で落札。ゲルハルト・リヒターの「カラーチャート」絵画《4096 Farben》(1974)は2180万ドル(約30億1800万円)で落札され、リヒターによる同シリーズの最高額となった。
いっぽうの「The Now」セールでは、ジャスティン・カギアット(78万7400ドル)、ヘンリー・テイラー(250万ドル)、ニコール・アイゼンマン(240万ドル)、シモン・リー(310万ドル)、ポーシャ・ズババヘラ(35万5600ドル)、スティーブン・シアラー(78万7400ドル)といった6人のアーティストが自身のオークション記録を更新。また、同セールでは出品作品の半数以上が黒人アーティストによるものであり、総額は2050万ドルで落札額全体の55パーセント以上を達成した。