SBIアートオークションのライブ配信型オークション「SBI Art Auction Live Stream」が8月1日に開催された。
同オークションは、従来のオンラインオークションとは異なり、実際にオークショニアがハンマーを振るうかたちでオークションが進行。特設ウェブサイトからその様子を見つつ、オンラインまたは電話によりオークションに参加可能。また従来の書面による事前入札も受け付けた。
特設ウェブサイトでは、オークショニアとその隣のセール作品と価格を表示するモニターを映像で配信。通常のオークションと同様に、オークショニアが電話入札やオンライン入札を確認するスタッフのサインを見ながら、現在の価格をコールしていく形態となった。
オークションは開始冒頭から高値が記録された。山口歴《OUT OF BOUNDS NO.15》(2016)が、予想落札価格60万〜90万円に対し、3倍近い250万円で落札。山口は他にエディションが2作品出品されていたが、いずれも予想落札額を上回り、人気の高まりをうかがわせた。
花井祐介のユニーク作品《Untitled》(制作年不明)が、予想落札価格25万〜35万円に対して120万円、KYNE《Untitled》(2019)もエディション作品ながら予想落札価格30万〜50万円に対して210万円で落札と、これまでも国内アートオークションで高い値をつけてきた作品は今回も好調だった。
2019年に発表した、ネコをモノクロームで描く初のアクリルペイント作品により注目を集めるようになったIDETATSUHIRO。出品作の予想落札価格は20万〜30万円だったものの、最終的には360万円と12倍もの値上がりを記録。今後の評価の高まりを期待させる結果となった。
これまでのオークションでも高い人気を集めてきた小松美羽やロッカクアヤコの作品は今回も好調。小松美羽のエディション《干支神獣 猫年》(2018)は予想落札価格が20万〜30万円だったものの、180万円で落札された。また、ロッカクアヤコのキャンバスに描かれたアクリルペイント作品《無題》(2016)は、予想落札価格700万〜1000万円に対して、1550万円で落札。今回の最高額での落札作品となった。
Lyのアクリルキャンバス作品の予想落札価格は《I'M LUV 10》(2019)が10万〜15万円、《LUV'S SKATE SHOP》(2019)が20万〜30万円だったが、それぞれ125万円、150万円と高い値をつけた。
立体作品では彫刻家・土屋仁応の木彫作品《青猫》(2015)が、予想落札価格50万〜80万円に対して185万円で落札され、人気を裏づけた。
ミスター・ドゥードゥルのユニーク作品も人気を集めた。とくにキャンバスにアクリルで描かれた《Hot Summer》(2019)は、予想落札価格100万〜150万円に対し、500万円まで競り上がり落札。ドゥードゥルの作品は7点が出品されていたが、いずれも予想価格を上回り、高いマーケット人気がうかがえた。
全体として予想落札価格の設定が低めだったこともあり、予想価格を上回る取引が成立する場面が多く見られた今回のオークション。オンライン配信も目立ったトラブルはなく、終始スムーズに進行した。落札価格に取引手数料15パーセントを加えた本オークションの最終的な取引総額は、1億9015万2500円となった。
これまでに落札された作品の価格を一挙に確認できるだけでなく、好みの環境から端末で参加することができた。加えて、オークションを盛り上げるオークショニアの様子も配信動画で伝わってきた。配信用ウェブサイトのデザインも含めてユーザビリティも高く、今後のアートオークションがオンラインでいかに展開していくのかを判断するうえでも、重要な試金石になったと言えるのではないだろうか。