オークションハウスの巨頭・サザビーズが、フランス/イスラエルの実業家兼アートコレクターのパトリック・ドライによって約37億ドル(約4007億円)で買収された。
この買収により、同社はニューヨーク証券取引所で上場した31年後、ふたたび株式非公開企業となる。サザビーズの取締役会によって承認された買収合意に基づき、サザビーズの株主は普通株1株につき57ドルを受け取ることになり、これは14日の株価終値に対して61パーセント上回る水準だ。
フランスとポルトガル、イスラエルの国籍を持っているビリオネアのドライは、フランスの通信大手会社「アルティス」の創業者として知られており、同社の株式の60パーセントを保有している。今回の買収について、ドライはこうコメントしている。「サザビーズは、世界でもっともエレガントで高級志向のブランドのひとつです。その長年のクライアントであり生涯にわたる支持者として、私はサザビーズを家族と一緒に買収します」。
サザビーズの今後のあり方について、ドライは「将来の所有者として、私はサザビーズの経営陣に完全なる自信を持っています。したがって、会社の戦略に変更を考えていません」とし、経営陣は「私の全面的な支援を得て運営を続けます」と述べている。
1744年にロンドンで創業されたサザビーズは、現在世界最古の国際的なオークションハウス。1983年に、アメリカの富豪A・アルフレッド・トーブマンによって買収され、88年に上場して公開会社となった。
2018年度、その総売上は64億ドル(約6932億円)を記録。アメデオ・モディリアーニの《横たわる裸婦》が1億5720万ドル(約170億円)で落札され、同社での過去最高額となった。そのほか、バンクシーの《Girl With Balloon》がロンドンのサザビーズで切り刻まれた“事件”や、ニューヨーク本社の展示スペースの拡張とリニューアル、モネと印象派のオークションにおける過去最高額となる1億1070万ドル(約120億円)で落札された《積みわら》など、様々な話題を呼んだ。
非上場化によって、経営が不透明になるのではないかという懸念もある。ドライがどのようにこの老舗オークションハウスを導いていくのか、注視したい。