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MoMAの所蔵作品がオンラインで買える。クリスティーズで写真セールが開催

ニューヨーク近代美術館が、所蔵していた写真作品400点以上をクリスティーズで売却。そのセールが7月にオンラインで開催される。同セールは一連のMoMAセールの最後を飾るものとなる。

アンリ・カルティエ=ブレッソン サン=ラザール駅裏 1932 © Christie’s Images Limited 2018

 2017年8月、ニューヨーク近代美術館(MoMA)が所蔵している写真コレクションの中から、400点以上の作品を売却することが明らかになり、大きな話題を集めた。

 「Photographs from The Museum of Modern Art」と題された一連のセールは、その売却で得た利益の全額を、同館写真部門の作品購入資金に充てることが目的。昨年10月からオンラインセールを中心に、7つのオークションで作品が出品されてきた。出品作は、基本的にMoMAが複数プリントを所蔵しているもので、これまでの落札額トップ3は、コンスタンティン・ブランクーシ《Princesse X》(1916)の10万ドル(約1100万円)、アンリ・カルティエ=ブレッソンの《サン=ラザール駅裏》(1932、1964プリント)の8万1250ドル(約890万円)、そしてアルヴィン・ラングダン・コバーンの《Vortograph, c.》(1917)の4万3750ドル(約480万円)となっている。

 この一連のオンラインセールを提案したのはクリスティーズ側。クリスティーズ写真部門国際部長のダリウス・ハイムスは「より多くのオーディエンスに作品を届けることができるからです。それに、今回は一人のアーティストで40点以上出品しているケースもあったので、通常のオークションのフォーマットでは対応が難しいんです」とその理由を語る。「クリスティーズもMoMAも長年の信用があります。また出品作品も高解像度画像をオンラインで見ることができる。オフラインのオークションとそう変わりません」。

 そのセールシリーズの最終回となるのが、今年7月13日〜20日にかけオンラインで行われる「MoMA: Tracing Photography's History」だ。ハイライトとなるのは、アンリ・カルティエ=ブレッソンの《サン=ラザール駅裏》と《マルヌ河畔で、フランス》だろう。

 《サン=ラザール駅裏》は上述の通り、64年版のプリントがすでに落札されているが、今回出品されるのは68年版のプリント。冬の光の中、ひとりの男が水溜りの上を軽やかに飛んでいる一瞬をとらえたこの作品は、ブレッソンを代表する作品であり、日本でも広く知られている。予想落札価格は1万2000〜1万8000ドル(131万〜196万円)。また《マルヌ河畔で、フランス》は、カルティエ=ブレッソンの中でも大判の作品で、予想落札価格は5万〜7万ドル(547万〜765万円)。

アンリ・カルティエ=ブレッソン マルヌ河畔で、フランス 1938 © Christie’s Images Limited 2018

 これら2つの作品は、ともにブレッソンがMoMAの個展「Cartier Blesson: Recent Photograhs」(1968)のためにプリントした作品。ともにブレッソンからMoMAへと直接収蔵されており、ハイムスは「ブレッソンからMoMAへ、そしてあなた(落札者)へと作品が受け継がれていくのです」とその重要性を語る。

 MoMA所蔵の作品が手に入る貴重なこの機会。興味のある方はビッドしてみてはいかがだろうか。

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