2019.2.20

サンフランシスコ近代美術館がマーク・ロスコの《無題、1960》をサザビーズに出品。予想落札価格は39億〜55億円

抽象表現主義の巨匠、マーク・ロスコの《無題、1960》が、5月にニューヨークで行われるサザビーズの現代美術イヴニング・オークションに登場する。サンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)が所蔵している本作の予想落札価格は、3500万〜5000万ドル(約39億〜55億円)となっている。

マーク・ロスコ 無題、1960 Courtesy Sotheby’s

 サンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)所蔵のマーク・ロスコの《無題、1960》(1960)が、5月にニューヨークで行われるサザビーズの現代美術イヴニング・オークションに登場することで注目を集めている。

 SFMOMAは、本作を作品購入資金に充てるために出品。その予想落札価格は3500万〜5000万ドル(約39億〜55億円)となっている。本作は、ロスコが画家としての生涯頂点で完成した作品。1950年代、ロスコは独特の鮮やかな色を放棄し、ワインレッドやロイヤルブルー、ブラックグレーなどより濃い色を使って制作を行ってきた。本作は60年に描かれた19点のうちのひとつ。

 SFMOMAの館長、ニール・ベネズラは今回の出品について、「私たちは、美術館へのアクセシビリティを高め、グローバルな視点への取り組みを広げるため、展覧会やコレクション、教育プログラムを見直しています」とし、「本作は、SFMOMAのコレクションをさらに多様化し、現代美術の層を強化するために出品されるのです」と語っている。

 サザビーズ・ニューヨークの現代美術部門上級副部長兼シニアスペシャリスト、サーラ・プリチャードは、次のようにコメントしている。「この作品は、ロスコの高い芸術的実践を体現しており、鑑賞者に強い感情的な反応を引き起こします。ロスコの1950年代の作品の表現力や超越的な特質をすべて持ちながら、筆致や色層などにおいて微妙な違いもあります」。

 なお、本作はニューヨークのオークション前に、ロンドン、台北、香港で巡回展示される予定となっている。