国際美術展「TOKYO ATLAS」の全体像が発表。都市の歴史と景観に新たな視座を与える【2/3ページ】

天王洲エリア(アイルしながわ、WHAT MUSEUM)

 かつて都市のごみ集積場として使用されていた施設「アイルしながわ」。再開発によって周辺には広場や遊歩道が整備され、現在はアート活動やパラスポーツの施設としても活用されている。

 人工的な構造物と天王洲アイルの運河、そしてかつての用途の名残が混ざり合うこの場所では、盛圭太(1981〜)のインスタレーションと、笹岡由梨子(1988〜)による映像インスタレーションが展開される予定だ。

アイルしながわ(天王洲エリア)

 また、同エリアのWHAT MUSEUMでは、関連企画展「座標|Coordinates 東京都による支援作家たちの現在地」も同時開催。これまで都が支援してきたアーティストやキュレーターを紹介・後押しすることで、国際展を舞台とした新たな座標を描くことを目指すという。

WHAT MUSEUM(天王洲エリア)

青海エリア(テレコムセンタービル、青海南ふ頭公園/地下駐車場)

 アートの国際取引の拠点としても関係性の深い保税地域を擁し、大型貨物コンテナや大型クレーンが並ぶ青海エリアは、お台場や天王洲とは雰囲気が異なり、普段は一般の人々が足を運ぶ機会が少ない場所だ。ここでは、テレコムセンタービルや青海南ふ頭公園、そして同公園内の地下駐車場がメイン会場となる。

草間彌生《宇宙へ行って見た愛の花束》(2021) 「Yayoi Kusama: A Retrospective」(グロピウス・バウ、ベルリン、ドイツ、2021)での展⽰⾵景
テレコムセンタービル(青海エリア)

 テレコムセンタービルでは、草間によるバルーン作品《ヤヨイちゃん》(2012)と、《宇宙へ行って見た愛の花束》(2021)を同一空間に展示。後者は日本初公開であり、この2作品を並置する試みは世界初となる。

青海南ふ頭公園(青海エリア)

 青海南ふ頭公園は、東京港の国際的な海運を見渡せる場所に位置する。ここでは、東京藝術大学小沢剛研究室らによる、ヤギの飼育をプラットフォームとしたアートプロジェクト「ヤギの目」が展開されるほか、巨大なボトルのなかで1週間生活するというアブラハム・ポワンシュヴァル(1972〜)によるパフォーマンス作品《Bouteille》(2015〜)を実施。また、デュッセルドルフを拠点とし、30年ぶりに国際展へ参加する竹岡雄二(1946〜)は、公共彫刻の本質を捉え直す作品を発表する。

 さらに、同公園内の地下駐車場も会場となり、地上と地下の二層構造でのアプローチを行う。暗い空間を生かした映像作品や光を用いた作品が中心となり、潘逸舟(1987〜)、イベェ・ヌル(1993〜)、ケイティ・パターソン(1981〜)、ムハンナド・ショノ(1977〜)、カウィター・ワッタナチャヤンクーン(1987〜)らが、それぞれの表現手法を生かしたアプローチを行う。

キュレーター陣が語る選定基準と課題

 出展アーティストの選定について、建畠は「国内外の第一線で活躍するアーティストであり、ホワイトキューブとは異なる都市空間という場所性を積極的に活かせる人物を選んだ」と語る。

 また三木は、「円安の時代に国際展を開催することがもっとも切実な課題であった」としつつ、「コミッションワークにこだわり、場所が持つ歴史への共感と、一過性にとどまらない展示のあり方をともに模索できる人物にお声がけした」と明かした。

編集部