箱根のポーラ美術館が、ゲルハルト・リヒターの大作《ストリップ(926-3)》を新たに収蔵したことを明らかにした。
ゲルハルト・リヒターは言わずと知れた現代美術の巨匠。昨年から今年にかけ、日本では16年ぶりとなる大規模個展(東京国立近代美術館、豊田市美術館)を開催したことは記憶に新しい。
フォト・ペインティング、カラー・チャート、アブストラクト・ペインティングなど、様々な技法を駆使しながら多様な作品を手がけてきたリヒター。今回収蔵された 《ストリップ(926-3)》は、2011年からリヒターが制作してきた同名シリーズに位置付けられる作品だ。「ストリップ」シリーズは、すべて《抽象絵画(724-4)》(1990年、個人蔵)に由来している。同作をスキャンしたデジタルデータを縦方向に二等分し、分割したそれぞれのイメージをさらに同じ方向に二等分するという手法をとっており、縦方向の分割を計12回繰り返すことで画像は細分化され、4096本の極細の細片(ストリップ)にまで変換される。それぞれの細片には画素のレベルまで分解された様々な色彩が含まれており、そうしたデータを再統合した結果として、膨大な細片が折り重なる「ストリップ」が生み出されている。
ポーラ美術館は2020年、当時約30億円でリヒターの絵画作品である作品《抽象絵画(649-2)》を落札し話題を集めた。本作がコレクションに加わることで、「抽象絵画」シリーズから「ストリップ」シリーズへの展開を提示することが可能となる。なお同館では12月13日より、「ポーラ美術館コレクション選:ゲルハルト・リヒター」として、《ストリップ(926-3)》《抽象絵画(649-2)》《グレイ・ハウス》の3作品を一堂に展示する。