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ドイツの首都で《ビルケナウ》を展示する意義とは何か。リヒター寄贈の100作品がベルリンで一挙公開

ゲルハルト・リヒターがベルリンに約100点の作品を寄贈。60年に及ぶ創作活動、多岐にわたる手法を網羅する作品群を一挙公開する展覧会がスタートし、話題を集めている。建設工事が進む新たな20世紀美術館には、20世紀を代表する作家としてリヒターの特別室を予定しているという。 「ベルリンのための100作品」キュレーターに話を聞いた。

文=河内秀子 撮影=Gianni Plescia

 「ベルリンのための100作品」展示風景より

 20世紀を代表する世界的アーティスト、ゲルハルト・リヒター。その作品は世界中の人を魅了し、近年のオークションでは、現在生存中の作家として史上最高の落札価格を記録更新し続けている。2021年、リヒターは約100点の作品をベルリンのプロイセン文化財団に寄贈(無期限貸与)することに決めた。この「ベルリンのための100作品」が、2023年4月1日から初めて新ナショナルギャラリーで一般公開されることになり、話題を呼んでいる。

 「ベルリンのための100作品」展示風景。《頭蓋骨》(1983)と《不法に占拠された家》(1989)。「ケルンの状況は知らないですが、《不法に占拠された家》を見るとベルリンの街並みを思わずにはいられません」とイェーガー

 多岐にわたる100点のなかでも圧巻なのが、2014年に描かれた《ビルケナウ》だ。ニューヨークのメトロポリタンミュージアムをはじめ、リヒターの故郷ドレスデンや拠点を置くケルンからも切望されていた作品群。なぜ、これらの作品はベルリンに贈られることになったのだろうか。本展のキュレーターでもあり、20220年から2022年まで新ナショナルギャラリーの館長としてリヒターと話し合いを続けてきたヨアヒム・イェーガーに話を聞いた。

ヨアヒム・イェーガー。1998年からベルリン国立博物館群に勤務し、2011年からはナショナルギャラリー館長、2020年からは新ナショナルギャラリー館長に。本展のキュレーターでもあり、20世紀美術館計画を率いる立場でもある

ドイツの首都に、ホロコーストを問う作品を展示する意義

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