20世紀を代表する世界的アーティスト、ゲルハルト・リヒター。その作品は世界中の人を魅了し、近年のオークションでは、現在生存中の作家として史上最高の落札価格を記録更新し続けている。2021年、リヒターは約100点の作品をベルリンのプロイセン文化財団に寄贈(無期限貸与)することに決めた。この「ベルリンのための100作品」が、2023年4月1日から初めて新ナショナルギャラリーで一般公開されることになり、話題を呼んでいる。
多岐にわたる100点のなかでも圧巻なのが、2014年に描かれた《ビルケナウ》だ。ニューヨークのメトロポリタンミュージアムをはじめ、リヒターの故郷ドレスデンや拠点を置くケルンからも切望されていた作品群。なぜ、これらの作品はベルリンに贈られることになったのだろうか。本展のキュレーターでもあり、20220年から2022年まで新ナショナルギャラリーの館長としてリヒターと話し合いを続けてきたヨアヒム・イェーガーに話を聞いた。