大阪駅北側に広がる貨物ヤード跡地の大規模複合開発として、2027年度の全体まちびらきを目指す「うめきたプロジェクト」。2013年にグランフロント大阪を開業した先行開発区域に続き、現在、地区面積約9万平米におよぶ「うめきた2期地区開発プロジェクト・グラングリーン大阪」が進められている。
24年9月の開業を目指すこの地区再開発において中核施設となる「JAM BASE」(コワーキングスペースやSOHO、交流スペースなどを有したイノベーション施設)のなかに誕生するのが、文化施設「VS.(ヴイエス)」だ。
同施設は、グランフロント大阪の中核施設「ナレッジキャピタル」で総合プロデューサーを務める株式会社野村卓也事務所と、国立民族学博物館や大阪市歴史博物館などを手がけてきた株式会社トータルメディア開発研究所が運営するもの。「VS.」という名称には、「ビジョンを実現するステーション、スタジオ、ステージ、ソサイエティ」という意味が込められているという。
野村卓也は同施設を「新しい文化装置」と位置づける考えを示しており、特定のテーマやコレクションは持たず、テクノロジー、リベラルアーツ、伝統文化と新しい発想、国内外の文化や取り組みを結びつけることを目指すとしている。
施設内のキュレーションには複数のキュレーターが参加。そのひとりである、「ソノアイダ#新有楽町」などにおける活動で知られる丹原健翔は「新たな文化価値を創造する仕事をしていきたい」と意気込みを見せる。
建築は設計・監理を日建設計が、設計監修を建築家・安藤忠雄が担当。キューブ状のデザインが特徴となっており、周辺環境を配慮するかたちで、施設の大半が地下に埋まる構造となる。内部には計1400平米におよぶ3つのスタジオを配置。なかでも天井高15メートルのスタジオAでは、没入感のある映像やパフォーマンス、大型作品を展示することが可能となる。
安藤忠雄はこの施設について、「文化は人に大きな力を与えるもの。うめきたから日本のみならず世界に発信するものができないかと考えた。これほど大きな公園は国際的に見ても大きなインパクトがある。大阪人としては力のある大阪にしたい」と語っている。
なお同施設の開業記念としては、9月には真鍋大度の個展「未来への共振(仮称)」を予定。同展以降は、CCCアートラボによるストリートカルチャー プログラム(24年11月頃)、竹中工務店プロジェクト「TAKENAKA Exhibition(仮称)」(25年2月頃)、そして「安藤忠雄 建築展(仮)」(25年4月頃)などがラインナップされている。