2021年11月に開館した、アジア最大級のヴィジュアル・カルチャー博物館である「M+」(エムプラス)。そのメジャーパートナーにシャネルが名乗り出た。
シャネルによると、このパートナーシップは2023年7月から3年間にわたるもので、M+の映像プログラムを強化するために、「シャネル・リード・キュレーター ムービング・イメージ」と題した主任学芸員のポジションをサポートするという。
またシャネルは「M+レストアード」と題した香港の映画遺産を保存するための新しい映画修復プログラムに加え、「アジア・アヴァンギャルド・フィルム・サーキュレーション・ライブラリー」ではアジアの先駆的な映像作家たちを称えるための広範囲にわたるリサーチとコレクション構築の取り組みを支援。映画文化への関心と理解を促し、次世代のアーティストにインスピレーションを与えるという。
シャネルにとって香港の文化施設との初めてのパートナーシップとなる今回の取り組み。M+ディレクター(館長)のスハンニャ・ラッフェルは「シャネルが映画文化を保護し、ムービング・イメージの実践を育成し、さらに重要なこととして、新しいアイデアとより大きな表現を推進するために芸術と文化のイノベーターを支援するという共通のビジョンをM+と共有していることを嬉しく思う」としつつ、シャネルの支援が「M+のキュレーションの限界を押し広げ、私たちの豊かな映画遺産の活力を世界中の観客に広めるうえで、大きな力となる」とその意義を強調している。
またシャネルでグローバル・ヘッド・オブ・アーツ&カルチャーを務めるヤナ・ピールは「シャネルの長年にわたる文化的コミットメントと、M+との新たなパートナーシップを通じて、香港とその地域の新世代のムービング・イメージ・アーティストたちに、次の時代を想像する機会を創出したい」と意気込みを寄せている。
そしてM+のシャネル・リード・キュレーター ムービング・イメージであるシルケ・シュミクルは、このパートナーシップによって「アジアでもっとも重要な映画アーティストの作品を研究・保存し、国際的なムービング・イメージ文化の適切な現代キュレーションの枠組みの中で紹介するという、2つの重要なイニシアチブを開始することができる」としている。
シャネルの創設者であるガブリエル・シャネルはそのキャリアを通じて映画の世界と密接な関係を保ち、当時の一流の映画監督たちと仕事をし、クリエイティブな仲間たちをサポートした歴史がある。そのもっとも新しいかたちとなるシャネルとM+のパートナーシップは、他のメゾンやミュージアムにも大きなインパクトを与えるだろう。