ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリー(NPG)が、ビクトリア朝時代の公衆トイレ跡地を購入し、展示スペースとして改装することがわかった。
このニュースを最初に報じたThe Art Newspaperによると、NPGの北側に位置するこの1890年代の建物は1970年代までに地下公衆トイレとして使用されており、80年代から数年前までは劇場のチケット売り場として使用されていた。2021年に不動産市場に出され、数ヶ月前に実業家レン・ブラヴァトニックの資金提供によってNPGが購入したという。
NPGは、隣接するロンドンのナショナル・ギャラリーの別館であり、肖像画専門の美術館として1856年に開館。2020年春より「Inspiring People」という建物の大規模改修プロジェクトに伴って一時休館しており、今年6月に再開を予定している。
同館は昨年11月、「Inspiring People」プロジェクトを支援するために、上述のブラヴァトニック・ファミリー財団から1000万ポンドの寄付を受けたことを発表。そのなかでは、この公衆トイレ/チケット売り場跡地を購入したことにも言及している。
ロンドン随一の広場として知られるトラファルガー広場の北面、チャリング・クロスとアーヴィング・ストリートとの交差点にあるこの六角形の建築物の地下には、約160平米の広々としたスペースがある。今後は、夜にも開館できるようなパブリックプログラムのスペースとして使用される予定だという。
また、今回の改修プロジェクトでは、ギャラリーの展示スペースを改修するほか、東ウィングをふたたび一般公開し、新しいショップやケータリング施設を設置。ブラヴァトニック・ファミリー財団からの寄付を記念するため、1階にある9つのギャラリーを「ブラヴァトニック・ウィング」として名付ける。また、ギャラリーの入口には3つのドアが新たに設置され、あらゆる年齢層の来館者を迎えるラーニングセンターも新設される。