ロシア館なきヴェネチア・ビエンナーレ。まもなく開幕

現代アートの世界で最も重要な国際展のひとつである「ヴェネチア・ビエンナーレ」がまもなく開幕を迎える。注目はロシア館の不参加とウクライナへの連帯だ。

ヴェネチア・ビエンナーレのロシア館 Photo by Marco Cappelletti

 現代アートの世界でもっとも重要な国際展のひとつである「ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」。その第59回が4月23日に開幕する。今回はコロナ禍によって昨年から1年会期をずらして開催される珍しいケースとなったが、それ以上にロシアによるウクライナ侵攻がビエンナーレ全体に影響を及ぼしそうだ。

 今回のヴェネチアでは、ロシア館代表作家らがウクライナ侵攻を理由に参加を辞退。その結果、ロシア館自体がクローズされたままとなる。ベルリンの新ナショナルギャラリー館長であるクラウス・ビーゼンバッハは現地からロシア館の様子をInstagramに投稿。「COMMENTS PLEASE(コメントをください)」としたポストに対し、レアンドロ・エルリッヒが反応を示した。

 「悲しい。キャンセル・カルチャーには注意を払うべきだ。私はファシスト政権下のアルゼンチンで育った。私たちは苦しんできた。ロシアも強い検閲の下にある。芸術は対話の機会として残るべきだ」

 ロシアが姿を消すいっぽう、ウクライナへは強い連帯が示される。

 ビエンナーレ会場の中心である「ジャルディーニ」(カステッロ公園)では、ウクライナ緊急芸術基金(UEAF)とヴィクトル・ピンチュク財団の協力によってウクライナ館のキュレータたちによるインスタレーション「ウクライナ広場」を展開。ウクライナへの連帯を示すとともに、議論や会話、ウクライナ文化への支援のための空間を創出するという。

 ヴェネチア・ビエンナーレの詳報は追って「美術手帖」でもお届けする。

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