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ヴェネチア・ビエンナーレ

Venice Biennale

 イタリアのヴェネチアで隔年開催される現代美術の国際展。ビエンナーレはイタリア語で「二年に一度」の意味。美術、建築、音楽、映画、演劇を独立部門として有するが、美術展は建築展と交互に開催されるのが通例である。第1回目の開催は1895年。歴史的な蓄積があるという点からも、現在数多ある国際展のなかで筆頭に挙がる存在である。

 出展単位となるのは「国」であり、参加国は国内キュレーター(コミッショナー)と代表アーティストを選出して自国のパヴィリオンでテーマ展を行う。展覧会は賞形式で、各国の展示の中から金獅子賞(優秀賞)が決定される。コミッショナー制と授賞のための国際審査はムッソリーニ政権下の30年代に導入され、その形式ゆえに「美術のオリンピック」と称されることもある。メイン会場はジャルディーニ(カステッロ公園)とその周辺に構えられたパヴィリオンだが、2000年代以降アルセナーレ(旧国立造船所)が新たに会場として加わった。また、主に若手アーティストを紹介する「アペルト」部門も一時の中断を経て継続的に行われている。

 日本は52年に初めて公式参加。これまでに土方定一、瀧口修造、針生一郎、東野芳明、中原佑介らがコミッショナーを務めた。56年には棟方志功が国際大賞の版画部門で受賞。近年では、2013年にアーティストの田中功起とキュレーターの蔵屋美香による展示が特別表彰を受賞して話題を呼んだ。

文=中島水緒

参考文献
『ヴェネチア・ビエンナーレ 日本参加の40年』(国際交流基金・毎日新聞社編著、毎日新聞社、1995)